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【Kindleオススメマンガ⑰】『海辺へ行く道』:三好 銀(気だるい午後の白昼夢)

作品タイトル:海辺へ行く道

著者:三好 銀
出版:KADOKAWA

[作品のあらすじ]

三好銀のほとんどの作品がそうだが、この「海辺へ行く道」もまた、これといったストーリーがない。海辺の田舎町に住む普通の人々、または普通に見えるが何か隠し事がありそうな人々が、可笑しく奇妙な出来事に巻き込まれ、だけど何も起こらない、短編集のような漫画である。

 

[作品の推し所・感想]

この漫画は、とりたてて絵がかわいいわけでも、熱い名言が挟まれるわけでもない。一つ一つの話を全て覚えているかといわれると怪しい。しかし、この漫画のような読後感を与えてくれるものは他にない。爆笑も号泣も共感もないのに、なぜだか親しみを持って読むことができる。おだやかな田舎町の中に、なにか胡散臭い人や団体が入り込み、ひと騒動起こしてそして去っていく、というパターンが多い。

そんなことは、これまでも自分の身には起こらなかったにも関わらず、なぜか、自分だけが知っている秘密をこの漫画の人たちとこっそり共有していて、そして共有していることさえ世間には秘密にしている、そういう気持ちになる漫画である。作者の三好銀は最近亡くなっていて、もう続き(あまり続きがあるような話はないが)が読めないのは、非常に残念である。

日常の世界から、ふと曲がり角を曲がった途端、パラレルワールドに迷い込んでしまったような、奇妙ながら心地いい世界を描いていた作者は、亡くなったのではなく、並行するもう一つの世界に消えただけのようにも思える。

わくわくするような、前向きな気持ちになるような物語が読みたい人にはあまりおすすめしないが、例えば気だるい夏の午後の昼寝の合間に読むにはぴったりの、白昼夢のような漫画である。